札幌

行ってきました。札幌キャンペーン。一泊二日の行程だったのですが、二日目はごらんのとおり雪。初日が暖かかったぶん、この寒さはけっこうきつかったです。傘を持たずに移動していたので、目的地に着く頃には、頭が雪で真っ白になっておりました。でも「傘があったらなあ」とか、そういうことはまったく思いませんでしたね。これが雨だと、なにはなくとも傘が必要になってくるのですが。不思議だ。そういえば、街を歩いている人たちもみな傘をさしていなかったように思います。こういうとき女性の場合は特に、濡れることを嫌ったりしそうなものですけどね。僕の見た限りでは、そういったことを気にしていそうな女性は誰一人としていませんでした。というかそんなことよりも、こっちの方がかなり目立つのだけど、短いスカートをはいて余裕で通りすがっていく女性の多いこと！同行していたビクターのプロモーターT氏は「いやー、僕なんか短パンでも平気ですよ。はっはっは」と宣っておりましたが。いやいやいやいや。見ているだけで、こっちが寒くなってきそうです。札幌市民おそるべし。

TUTTI

日頃から僕たちの活動を気にかけてくださっているみなさんには、大変長らくお待たせをいたしました。新しいアルバム「TUTTI」がいよいよ発売となります。できること、できないこと、あるいはやるべきこと、やるべきではないこと、そういった色々なことを考えながら音楽と向き合ってきた中で、いまバンドが提示することのできる最高のもの、それがこのアルバムだと僕は思っています。また、前作と比較して何か変わったところがあると感じた方には、このバンドがいま「そういう方向」に変わっていっているのだと捉えていただいて結構です。僕たちは今まで自分たちが持ち合わせていたものすべてを一度捨てて、丸腰の状態でこの音楽をつくりました。ですからひとつお願いをするとしたら、僕としては、みなさんにはできるだけ「ありのままの心」でこのアルバムを楽しんでいただきたいと思っております。そしてどうか自分のものにしてください。何度か言ってきたことですが、この音楽を誰が書いたかなんて、実は全然重要なことではないのです。他のメンバーもみな、僕と同じ気持ちをもっています。ですからメンバーを代表して、このアルバムと、アルバムの最後に歌われるメッセージが、本当にみなさんひとりひとりに向けられたものであることを、ここにお伝えします。どうもありがとう。

味彩遊園

大塚利恵さんの新譜を聴きました。「あいたくて」「小さな灯」「東京エレクトリカル」「風といっしょに」など、以前に僕がサポートをしていた頃、よく演奏していた曲も入っています。メロディ、歌詞はもちろん、やっぱりこの人は声が素晴らしい。痛めてしまった喉の回復を待ちながら、少しずつ積み上げるように、ゆっくりと進められていったレコーディング。会うたびに「まだ、もうちょっとかかるんだよね」と話していた大塚さんにはどこか、自分のかたちを指でなぞっているかのようなところもあったのですが、この新しいアルバムからはそういった躊躇みたいなものは全く感じられませんでした。ファンとしては、やっぱりそこがうれしいですね。なかでも「東京エレクトリカル」が最高です。曲中では元宝塚歌劇団の朝澄けいさんとすがた香さんが、銃声の響き渡る中（笑）「アレクサンドル、今こそ秋葉原へ行こうじゃないか！」「気に入ったぞ、コンスタンチン！懐中電灯が必要だったんだ！」と寸劇をかましてくださいます。いや、それだけではなく、この曲は音質といいアレンジといいメロディといい、すべてがもう奇跡的に突き抜けているのですが。
「東京エレクトリカル」を聴くためだけにこのアルバムを買っても、損はないでしょう。

ホムンクルス

電子辞書の回で書いた「ホムンクルス」がどうにも気になっていました。英和辞典で出てこないとなると、英語ではないな、というわけでドイツ語の辞書を引いてみると、ありました。

　　　Homunkulus　＜男性名詞＞　（ゲーテのファウストに出てくる）人造の小人。小人間。（博友社「木村・相良独和辞典新訂」より引用）

ファウストに出てくる人造人間…これはただごとではないですね。中村航さんなら、ここで「言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ」という名フレーズを引用するのではないでしょうか。しかし、辞書の簡潔な説明だけではまだうまくイメージができなかったので、インターネットで検索してみることにしました（余談ですが、自宅で調べものをするとき、面倒でも僕はこのようなプロセスを経ることにしています。インターネット検索は手軽ですが、情報量が莫大だということは、そのぶん誤った情報も多く含まれているということですから）。

　　古くから西洋で語られてきた伝説で、精子や生き血、馬糞を用いて手のひらサイズの人造人間を生み出すといわれる錬金術の一種。

公開されている情報を総合すると、だいたいこのようなことになります。これはますます、ただごとではないですね。もっと情報はないかと探していると、『ホムンクルス』という書名が出てきました。これだ、僕の知りたいことはこの中にある。これはきっとホムンクルスを中心に西洋の伝説について書かれた研究書に違いない。そんな気がして、僕は即、その本を注文したのでした。
しかし、後日その本が届いて、がっくり。それは『ホムンクルス』と題された、漫画だったのです…。一応ぱらぱらと内容を見てみましたが、そこにはもちろん、僕の知りたいことは一切書かれておりませんでした。自分の行動が早計だったとはいえ、これには久々がっくりきたなあ。ちなみにその漫画は素生にあげました。予想以上に喜んでくれたので、作者さんの意志は無駄にはなっていないと思います。よかったよかった。しかしやはり、インターネットには罠が多い…（勝手にはまってるだけですが）。
今回の写真は先日の満月です。月明かりをじっと見ていると、心が静まる気がします。

お知らせ

下記の通り、「うさぎフォーラム」を開催します。

開催期間／２００６年２月１５日〜３月１５日
テーマ／インターネット・コミュニケーションの再考

まず、これまでの「ひつじフォーラム」の流れを総括してみて、「今のところはけっこう良い感じで進んでいるな」という感想を僕は持っています。少しほっとしたような気持ちもあります。というのは、実はこのフォーラムを準備しているとき、僕はかなり多くのルールを明文化して用意していました。不特定多数の人間を相手にし、運営はひとりでやっていくわけですから、そのくらいの身構えは必要だろう、そんな気がしていたのです。結局思い直して、それらのルールはスタート直前になってやはり捨てることにしたのですが、それがかえって良い方向に作用してきたように感じます。

ただやはり、言葉の使い方って難しいですね。みなさんからのメッセージにもありましたが、僕もそういったことを折に触れ感じてきました。これまでフォーラムうまくいってきたのは、みなさんがこの場の利用の仕方を自分なりに考え、そしてまっすぐに向き合ってくれた成果だと僕は思っていますが、しかしそれでも「伝わりきらない部分」は残ってしまいます。半ば「書き逃げ」のようなことをする人もいるし、僕の伝え方がうまくなかったことで、早々と去っていった人もきっといるでしょう。

しかしこのフォーラムは、僕が言いたいことを言うだけのページでもないし、みなさんが言いたいことを言うだけのページでもありません。対話をするためのページです。

現在、仕事や生活に欠かせない存在としてパソコンはあります。考えたり話したりするときと、タイプするとき、両者を比べてみると何が違ってくるのか。あるいは何が変わらないのか。何かが変わっていたとしたら、それはただ単に言葉なのか、それとも自分自身なのか。この疑問の中には、多くの人が見て見ぬふりをしている何かがあるような気がします。場合によっては不安の種になる事柄でもあると僕は思います。

そういうわけで、いまパソコンを視野に入れながらコミュニケーションを再考することは、けっこう大事なことなんじゃないか、そう考えてテーマとしました。参加の仕方は「ひつじフォーラム」とだいたい同じです。ただこちらのほうでは、より積極的にみなさんからのメッセージを公開していきます。話の流れも大事になってくると思われるので、公開の順序はもちろん時系列に則します。

開催期間は１ヶ月としましたが、これは今回が第１回目ということでまだ感触がつかめないという理由から、このようになっています。今後変更になる可能性があることをご了承ください。

パンダ

パンダを洗濯しました。僕はドラムを演奏するとき、たまに椅子の上にクッションを敷いているのですが…いや、なんのためって、それはその、まあ、いわゆるひとつの、ふかふかだからです。それで、このパンダはそのクッションカバーというわけです。ちゃんと洗ったのかと言われそうですが、これでも随分きれいになった方だと思います。持ち帰ったときはひどかったですね。黒くすすけていて、埃っぽくて、「ただ座っているだけなのにいったいどうして」と僕は不思議に思ったものです。
でもよくよく考えてみればこのパンダ、「ただ座られているだけ」じゃなかったんですね。ドラムセットを組むための金属のパーツや何かと一緒に、いつもどかどかと格納されてきたということもあるし、第一、まず彼の持ち場である椅子自体がそんなにきれいなものだとは言えない。これはところどころガムテープで補強してあったりするような代物なので、当然、演奏動作の中で、粘着成分のはみ出たテープのエッジがクッションの表面に干渉し続けます。じわじわ、じわじわ。そのことによってパンダくんはついに、落ちにくい、呪いのような、いやーな汚れに侵されてしまったわけですね。
だから呪われしパンダよ、きみがそんなにも汚れてしまったのは、決して、僕のズボンが汚いからではないのだぞ。

proof

久しぶりに映画を観てきました。「プルーフ オブ マイ・ライフ」という、数式の証明を巡る物語です。「数学もの」の話でいえば、小川洋子さんの『博士の愛した数式』がまず思い出されますが、この物語でもやはり「博士」がとても変わった人物として登場してきました。博士を演じるのは「ゾロ」や「レクター」としておなじみのアンソニー・ホプキンス。さすがの存在感で、僕個人的には、主演の２人よりもずっと強い印象が残りました。狂気を表現させたら、たぶん、この人の右に出るものはいないんじゃないでしょうか。これから観る方もいると思いますので、物語の筋には触れないでおきますが、まあ、賛否両論あるだろうな、と僕は思いました。なんというか、エンターテイメントを期待してしまうと肩すかしを食らうような気がします。構成として、ちょっとわかりにくい部分もありますね。ただ、すべてを語っていないところがいい。物語の結末を、観たものにぽんと手渡すような感じがあって、その意味では非常に余韻を楽しめる作品です。時間があったら、三谷幸喜さんの「有頂天ホテル」も観に行きたいな。

よりみち

僕もたまにはキャンペーン、ということで、"BEAT DELUXE"というラジオ番組に出演してきました。北海道と九州で流れるそうです。ナビゲーターの富樫さんとチナツさんはとっても感じの良い方で、自然とリラックスして話すことができました。しかし、話が上手な人と会話しているとアレですね、自分までうまく話せているような錯覚に陥りますね。丸谷才一さんの本を読んだ後に、なんだか頭が良くなった気がするのと同じです。あとはブルース・リーの映画を見たあと強くなった気がするとか。人間っておかしいなあ。
スタジオを出て別件のインタビューを受けたあと、ちょっと気分が良かったので、渋谷から当てずっぽうに散歩してみようと思いつきました。東京にはたくさん駅があるんだから、いい加減に歩いたってどこかの駅にたどり着くだろうと。そうして（軽く迷子になりながら）歩いてみて、僕がたどり着いたのは普段まったく利用しない駅、代々木上原。結局、ものすごく遠回りになりました（当たり前だ）。
今回の写真はそんな「寄り道の友」、愛用の電子辞書です。あてもなくぶらぶら歩いていると、「あれ、エピゴーネンってどういう意味だっけ」とか、「思いもよらない、って英語でなんて言うんだろう」とか、そういった雑多なことがふっと浮かんでくるものです。それらの疑問に、この道具はすぐに答えてくれる。たまに「そんなこと知らないよ」という冷たい反応もありますが（ホムンクルス、という言葉は入っていなかった）。でも、"polyhedron"（多面体）とかいう難しい言葉はちゃんと知っている。電子辞書、持ち歩くと面白いですよ。
そうそう、「思いもよらない」は"I never think〜"だそうです。

マグ

ここのところ「ネコライフ」の様相を呈しつつある、このブログ。そういえばこんな猫グッズもありました。頂き物ですが、僕はこのマグカップがとても気に入っていて、いつも使っています。じっと目をつぶって曲をイメージしたり、パソコンに向かってアレンジを考えたりするとき、この猫はいつも僕の傍らにあって、にっこりと笑っているのです。たしか笑う犬の何とかという番組がありましたが、どちらかといえば僕は「笑う猫」の方が好きです。犬で好きなのはやっぱり眉毛犬ですね。描いたやつじゃないですよ。天然ものです。
えーと。くだらないことばかり書いてしまいそうなので、ちょっと近況についてお知らせしたいと思います。アルバムの発売が近づいていく中で、素生と中澤はキャンペーンに大忙しといったところなのですが、僕はいまだ、主に自宅で作業をする日々が続いております。どういった形で発表するかはまだわかりませんが、とにかく「次の作品」にとりかかっているということは言えます。 ジェンガに情熱を傾けたり、 定年退職のお父さんみたいなことになったり、という日もまあ、ありましたけれども。一応毎日仕事はしております。よく働き、よく遊び、表現者としてめいっぱい生きるのです。「インスト研究所」も近々更新する予定です。お楽しみに。