アルバムの録音作業がすべて終了しました。とはいえTDやマスタリングなど、大事な仕上げ作業がまだ残っているので「概ね完成」といったところですね。今作は「TUTTI」よりも人間臭さみたいなものが色濃いと思います。そういうものに満ちている、と言ってもいい。詳細には触れませんが、なんというか、生々しくて、熱くて、ちょっとだけバカで、そして底の方がすごくかなしい。そういう感じがします。
というわけで、ここ最近はずっと新作を詰めていたわけなんですが、実はこの場に書いておきたかったことをひとつ、忘れておりました。なにぶん二週間あまり前のことなので、若干、時機を逸した感はあります。しかしあえて書かせていただきたい。今年の軍人将棋、於長嶋山荘。
僕はひそかに意気込んでいました。念願の初勝利を今年こそと。そして願っただけではありません。北軽井沢へと向かう数日前にはランクヘッドの小高くんを呼び出し、彼を「仮想長嶋有」として、作戦まで練り上げたのです(小高くんは未経験者だったけれども、事前に予想していた通り覚えが早く、なかなか良い相手でした)。しかしそこまでやったのにも関わらず、残念ながら、僕は今年も有軍に敗退してしまったのでした。通算成績0勝3敗……ああやられたり、やられたり。
今年の敗因はなんといっても「コンピュータ」。ふつうの軍人将棋にこんな駒はないのですが、長嶋山荘版には様々な特殊ルール、自作の改造ルールがあります(二歩兵、身代わり軍医、など)。この「コンピュータ」もそのひとつです。では、これは一体どういう駒なのか。
まず強いか弱いかで言ったら、この駒は弱いんです。ほとんど全部の駒に負けるくらいに。そのかわり、この駒は「相手の駒を見破る」ことができます。つまりコンピュータと対戦した相手は、ほとんど必ず勝利を収めるけれども、以降、駒の名前をオープンして歩を進めなければならない。もちろん見破ったところであまり価値がない、という場合もあります。でも思わぬタイミングでヒットすることだって、やっぱりあるのです。
もう、言うまでもないですね。ゲームが中盤にさしかかるよりも前に、僕はその「予期せぬ一撃」をコンピュータに見舞われたのでした。見破られたのは最強の駒、元帥。この状況を「スパイにさえ気をつければいい」と見ることもできます。しかしそれはつまり、前線に出せないということです。当然相手はこちらの元帥の動きを見ながらスパイを動かしてもくるわけで、中将を本部に置いて元帥を軸に攻めるつもりだった僕としては、このときから、すごくやりづらい状況に追い込まれたのでした。
ゲーム終了後、長嶋さんは「まあでも、やりようあったけどね」とクールにコメントしましたけども。いやいや。複雑な特殊ルールにまだまだ精通できていない僕にとって、前半のオープン元帥はきついっす。これぞまさに軍人将棋界のIT革命、コンピュータ恐るべし。そして来年こそは。