今年も、終わろうとしています。びびりつつ大吊橋を渡るところから始まった僕の2006年は、過ぎ去ってみれば、たいへん実り多い1年でした。今年最初に出した「TUTTI」それから「みんなで合奏を」というコンセプトが、「ハミングライフ」「パレード」と変化しながら通年のテーマにまで発展していった、そんな感じもあります。そういう意味では、今年はフィジカルに音楽に取り組んだ年とも言えるかもしれません。頭だけでなく手足をよく使った、ということなんですが、たとえば「音楽に国境はない」とよく言いますね。そういうものだろうな、とは誰もが知っている。でもそれを自分の土にすることができるのは(あとになってそれを別のかたちにして生み出すことができるのは)実際にその音楽を体験した人だけなんです。僕にはそれが今年、よくわかった。
文章もたぶんそうですね。頭だけを使って書いた文章というものは、やっぱり読んでいて全然おもしろくない(僕自身によーく覚えがあることなんですけれど、誰かが書いたものを読んでそう感じることもあります)。それがどんなに頭のいい人が書いたものでも、体得した何かに繋がっていない言葉ってなんとなくそれとわかるし、響いてこないし、結局、その場限りのナイフの輝きでしかないと思うんです。そもそも何かを本当に伝えたいと思ったとき、鋭い刃(のような思考)って必要なんだろうか? 実際、それはあんまり関係ないんじゃないかと僕は思うのですが。
年末ということで(何でもそれで片付けてしまいそうだ…)、今日はもうちょっと書きます。
サイモンに引き続き、ニール・フィンのライブDVDを観ております。これは「NEIL FINN & FRIENDS」名義の活動ですね。元スミスのジョニー・マーとか、パール・ジャムのエディ・ヴェダーが参加しています。それからRADIO HEADのフィル・セルウェイがドラマーとして入ってますね(ちょっと意外だったけど、そういえば同じパーロフォン・レーベルなのか)。そうそう、それからこのフィル・セルウェイさん、以前から「誰かに似てるな…」と思ってたんですが、ライブを観ていたら思い出しました。「24」に出てくる、シークレット・サービスの人です。めちゃくちゃ似てます。
それから気になったのが、キーボードのLisa Germanoという女性。僕はこの人まったく知らなかったんですが、とってもいいです。「きれいな声でコーラスするなあ」と思って注目していたら、なんとピアノを弾くだけではなくて、ギター弾き語りで歌ったり、バイオリン弾いたりする。これだけやる人が作曲していないわけがない、ということで、探して聴いてみようと思います。絶対いい音楽だと思う。
ニール・フィンのことは全然書いてませんが、このおじさんも僕が尊敬するミュージシャンの一人です。以前に宮尾くんが「顔つきが整っている人ほど、描くのがむずかしい」と言ってましたが、それと似たような感じで、「真面目に、良い音楽をちゃんとやっている人」って、それ以上に何と説明したものかよくわかりません。