何ゆえか

フィドルの言い回しに過去完了「〜するはずだった（のにできなかった）」が多いのは、何ゆえなのだろう。僕の文章の影響というわけでもなさそうだし……これは彼に与えられた先天的な性格というものなのだろうか。でもこんなに何度も目にすると、そのたびになんだかさみしーい気持ちになります。
「挫折を繰り返すパンダ」みたいな、憂いが見え隠れしてるんだよなあ。

今日は早朝からデモ作りをしています。時々ぶらっと外に出て、頭が空っぽになったらまた仕事に戻る、その繰り返しです。さいわい、まだ女子高生にうろんな目で見られてはいないようです。ところで散歩中に「ノラ」を口ずさんでいて気がついたのですが、今日は猫の日ではないですか。「TUTTI」が出たのは、ちょうど１年前の今日でしたね。早いような気もするし、やっと１年なのか、という感じもあります。歳を重ねると１年が早いというけれど、どうやら僕は自分で考えていたほど老けてはいないらしい。

写真は最近の棚調査で発覚した、重複CDです。ホワイトアルバムは以前プレゼントとして頂いたものですが、モンキーズとイールズに関しては、いつから２枚あるんだかさっぱりわかりません。何ゆえか。
最も考えやすい仮説として、最初は「誰かに借りた説」を立ててみました。しかし、どちらも最初の１枚目は自分で買ったものなのです。つまり、両方ともすでに持っていた。その上誰かに借りて２枚になったなんて、ちょっと考えられないですよね。あるいは持っていることを忘れて、また買ったのだろうか（すごく認めたくないが、こっちのほうが有力な気がする……）。やっぱり、僕はどこか老けてるのかなあ。

同じもの持っていても仕方ないし、この２枚は誰かにあげよう。

今作はいつになくコツコツと作ってます(BlogPet)

きょうは、想起したかもー。
でもフィドルは、ここへこうの・L・たけひろが作品みたいな直感するはずだった。

引き続きレコーディング中です。
今作はいつになくコツコツと作ってます。
わかりにくいかとは思いますが、直感したことをそのまま書くとこうなるんです。
でも「人間を含む様々な生き物が息づく大きな木」って想像してしまったのはフィドルだけでしょうか。
どこが似てるってことはないんだけど、なんとなく。

*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「フィドル」が書きました。

ランチ

あることに気がつきました。僕は今まで、作曲やアレンジなどの作業を机に向かって（楽器やパソコンを使いながら）ずっとやってきたのですが、ここ最近の忙しさもあって、ふと、移動中に本を読むのをやめてみようと思ったのです。仕事の続きをやってみようと。そうしてみたら、なんということだろう、街の中でも、電車の中でも、これがまったく問題なく進むんです。仕事場でじっ……とイメージするものよりもむしろ、浮かんでくる音楽は新鮮であるような気もします。今まで「けっこう歩くなあ」と思っていた道のりも、こうしてみるとあっと言う間で、いま僕は「こんなことに、なぜ今まで気がつかなかったのか」という思いでいっぱいです。自分の作曲ペースが遅い原因も、結局これだったのではないかと思い至りました。読書が好きだったのと、録音機器を扱うのが好きだったことが災いしたんだな。

しかし気づくのが遅かった。ロンドンのプリムローズ・ヒルを散歩していたポール・マッカートニーが、春の香りが漂ってくるのを感じて、思わず「だんだん良くなってくるな！」と言った話なんか、僕は好きで覚えていたし（"Getting Better"という曲を着想したときのエピソード）、身近な友人、長嶋さんがときにモバイルギアで書いているということだって頭に入っていたはずなのに！　「外で作る」という発想が僕にはずっとなかった。まあ、気づいただけいいのか。

いちばん気持ちよくイメージが膨らむのは、駅のプラットフォームです。どうも、適度に騒音があるくらいがいいみたいです。タクシーはまったくダメですね。不意に話しかけられるので。

ところで今、どうしようかと考えている問題があります。山崎ナオコーラさんの『人のセックスを笑うな』が面白かったので、続けて『浮き世でランチ』を読んでいた矢先に、この気づきはあったのです。僕はいつこの続きを読めばいいのだ。続きが気になって仕方がない。

視線

昨日の正午は雑誌取材のため、代々木公園にいました。写真撮影中に何度も強い風が吹いてきたので、目をつぶっている写真がいっぱいあると思います。掲載されることは（たぶん）ないと思いますが。そしてその撮影後に遭遇したのがこの猫とおじさんです。この猫も目をつぶっていますね。でもこれは風のせいではありません。猫を飼っている方ならご存知かと思いますが、猫は誰かに対して敵意がないことを示すとき、こんなふうに目を閉じたり、ゆっくり何度もまばたきをしたりするのです（逆に、けんかをしている時の猫というのは互いにじーっと睨み合いを続けます）。
人間の視線だけでなく、カメラのレンズに対して反応する猫もけっこういますね。レンズを向けた途端に逃げてしまう猫もいるし、やはりなにか「視線」のようなものをレンズから敏感に感じとるんでしょうか。

しかし公園に散歩に行って、連れてきた飼猫を肩に乗せながらソーセージを食べる気持ちってどんなものなんだろう。こういう、誰かの空想がそのまま絵になったような光景に出会うと、なんだかすごく変な感じがします。こんな人ほんとにいるんだ、と思うと、妙に世界が広がってくるというか。

たとえば、高層マンションから夜景を眺めながらバスローブ姿でワイン飲んでるおっさん、とかね。ほんとにいるんだろうなと思えてきます。リンゴがすっぽり入るくらいの、でかいワイングラスなんだろうな、とか。

シマリスくん(BlogPet)

きょうフィドルはレコーディングするはずだったみたい。


*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「フィドル」が書きました。

自分で検証しろ

たぶん連載しているエッセイでだと思いますが、ずっと前に「キリコの描く暗闇は人の心を惹きつける」というようなことを書きました。キリコというのはイタリアの画家、ジョルジオ・デ・キリコのことです。今にも何かが起こりそうな不穏な街並の中で、キリコの描く闇（建物の入口）は、見る人に「その先にある何か」を感じさせるものとして浮かび上がります。非常な想像喚起力をもっているのです。

それとはまた違った意味合いで、つまり実際にそこに存在している暗闇として僕が惹かれてしまうものがあります。地下鉄のトンネルです。なぜと訊かれると、うまく答えられないんですが。
うーん。たとえば、小さな子どもがこのトンネルを見て、母親にこう訊いたとします。
「この中、どうなってるの？」
すると母親は答えるはずです。線路があるだけよ、電車はこの中を通って隣の駅に行くの。中にはなんにもないの。
そういう答えを聞いて納得する子どもと、そうでない子どもがいるとしたら、僕は後者だったのではないかと思うのです。なんにもないわけはないと。

小説や絵画に触れて「引き込まれる」ということがありますね。どちらも興味がないという方は、歌詞でもいい。われわれはたぶんそのとき、作者のもっている暗闇に、知らず踏み込んでいるんじゃないかなと思います。そう考えると長く創作を続けていくということはまあ、素っ裸を見られているようなもので、大変なことだと思います（他人事みたいだな）。

僕もいま、歌詞書いてます。
もう１０年書いてるのに、いまだに得意にはならないっす。

何百年もそこに留まって人とともに生き(BlogPet)

こうの・L・たけひろが
大風が来ても折れないような強くてしなやかな幹を持ち、何百年もそこに留まって人とともに生き、最後は土に還る自然の南、例えて言うならそういう作品にしたいと、現段階で僕は思っています。
とか考えてたよ。

*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「フィドル」が書きました。

南

ご無沙汰しております。若干遅い話題になりますが、Zepp東京でのツアーファイナルにお越し下さった皆様、ありがとうございました。楽しかったですね。ゲスト出演してくれた山岡恭子さん（通称やまきょうさん）とは何度目の共演だったでしょうか。えーと、雨の野音に始まり、六本木ヒルズアリーナ、武道館、そして今回のZepp東京。あ、４回目ですね。僕個人は東京旅行とかダスト・トレイルでも共演していますから、もっとですけれど。彼女はわれわれの音楽の良き理解者なのであります。それから海外からのお客様、ポンチョ・イトー氏にもこの場を借りて御礼申し上げます。アイリッシュ・トラッドを得意としながら、「出身は？」との問いに「南」と答えるあたり、ただものではありませんな（漠然としてるよ…なんだよ「南」って）。

ツアーが終わったので、これからしばらくはレコーディングに集中することになりそうです。そのあたりのことで、まだ何もご報告することがないのは残念ですが。アルバムの完成度は半分程度といったところですね。進展があればまたこの場でお知らせします。

関係ない話になりますが、最近谷崎潤一郎の『文章読本』を読んでいます。読み進むにつれ、書く力と読む力って表裏一体なんだなという気がしてきます。ご自身でブログをもっているなどで、日々文章を書いているという方にはよーくわかっていただけるかと思いますが「わかりやすく、自分の言葉で書く」ということって、決して容易ではないんですよね。そこで体言止めの多用に逃げるか、文章を書くかで、やはりだいぶ質が違ってくると思います。まだ読みかけですが、それでもこの本は人に薦められるものだと僕は思っています。わかりやすく書かれていて、面白いですよ。

きょうフィドルはこうの(BlogPet)

きょうフィドルはこうの・L・たけひろはスリッパへ抵抗されたみたい…


*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「フィドル」が書きました。