考えることといえば今作っている音楽のことばかりで、この場で発信するほどのことは最近、特にないのだが。しかしそれにしても更新がなさすぎだろうと思ったので、何か書きます。
まず「路上のソリスト」という映画を観て、ショックだったことがひとつ。
この映画の中心には、音楽を愛しながら路上生活をするソリストと、その「音楽の愛し方」というのがあって、その周りに、それをどう受け止めていくかという外界の視点があるのだけど、そのソリストは、全然、なんにも、おかしなことは言っていない。統合失調症を強調する場面で錯乱的な台詞は多々あるけど、少なくとも音楽について言うところでは、台詞にも映像にも誇張的な表現はなにもない。
でもこの映画ではどうも、彼の精神の不安定さだけでなく、その「音楽の愛し方」までが特殊、というか、音楽観ひっくるめてその主人公を特別視して描いてあるようにみえる。そこがショック。だってそれに気づくまでの間、そうだよね、と思って彼の言葉を聞いていた僕は、同様に何かがおかしいということに、なりはしないか。
ショックだったのでこの映画はあとでもう一回観たい。
それから三上寛さんのライブが凄まじかった。はじめはどういうものなのかわからずに観ていたのだが(どの曲も使うコードがだいたい同じなので、昨今の音楽に耳慣れしていると面食らう)、そのうち「あ、言葉だ」と気づいて、歌詞に耳を傾けはじめてから、そこからは本当に圧倒されてしまった。その人である、という一点の表現が、こんな領域にまで到達できるものなのかと思うと、三上さんを通じて「人間ってすごいな」とまで思う。頭脳警察のトシさんの即興ドラムもすばらしかった。