ピアノの次は、マイクスタンドが倒れた。
画面に向かって作業をしていたら背後で「ガシャン」という音がして、振り返ってみると、セットしたマイクがスタンドごと床に転がっていた。特にバランスが悪かったわけでもないし、肘で押したりもしていないのに、なぜ? もしかしてこの仕事場、何かいる?
点検してみたら、マイクは無事だった。損傷もなく、音も今のところ大丈夫。しかしそのマイクをスタンドに固定するための部品(ショックマウント)が、割れてしまった。うわあどうすんだこれ、と焦って、エンジニアの比留間さんに電話してみたら、ショックマウントだけ手に入れることは容易いらしい。ああそうなのか。よかった・・・。
でもさしあたって、壊れたマウントの応急処置はしないといけない。すぐ使うから。そこでぼくは、不安な心持ちでそっと「アロンアルファ」を手にしたのだった。
なにが不安かっていうと、単純に「つくのか?」ということですね。こういう接着剤って、使える素材と使えない素材があって、なんかプラスチックには駄目だったような気が・・・
やってみるとやっぱり全然接着できなくて、結局、針金で仮止めした上にビニールテープをぐるぐる巻いて固定した。まあ、とりあえずはこれで凌げる。でも注文したマウント、早く来ないかなあ。あとこの仕事場、大丈夫かなあ。パソコン勝手に起動、とか。録音中に怪音、とか。そんなことが起こったら、いやーな気持ちになるだろうな。ぼくは普段全然怒らないけど、そんなことになったら、心底怒る気がする。あ、でも怒るのは実際いいらしいですね(美輪明宏さんによれば、霊は怒ると逃げるらしい)。
ユーレイがどうとかいう話じゃないけど、見えない手で何かするとか、見えない口で何か言うとか、要するに、自分の正体がばれないようにして誰かに悪さする、みたいなことがぼくはすごく嫌いだ。人として品性が下劣だと思うし、どんなに落ちぶれたとしても、それをやっちゃおしまいだろう、と思う。子どもの頃に見た美しいものや、すばらしい人に出会ったときに感じた気持ち、そんなせっかくの何もかもを、自分で台無しにするようなものだ。
写真は件のぐるぐる巻き。地味に苦労してます。