撮影ロケで行った山梨のキャンプ場で、靴下が干してあるのをみた。風雨にさらされてごわごわになった靴下は、ひっかかっているその木の枝と、ちょっと質感が似ている。これは、だんだん似てきたんだろうな。そう思ったときに、さざ波のような可笑しみがあったので、ついこんな変な写真を撮ってしまった。
誰も撮らないであろうものをわざわざ撮る、というのはしかし、やっている本人にとっては楽しいものです。端からみている人にとっては、きみ、何してるの、ということになるのだけど……。
そういえば前にぼくの妹が「コンクリートに残った猫の足跡」を撮っていた。セメントが固まる前に猫がそこを通って、足跡が点々と残っちゃったんですね。それを見つけた彼女はおもむろにその足跡を接写し始めて、一緒にいた妹のだんなは、ヘンナヒトダネと言って(英国人だから)笑っていた。うん、あれは変だった。きみ、なにしてるの、と思った。
でも仕方ないよな。かたや兄は捨てられた靴下撮ってるわけだから。この兄にしてこの妹ありだよ。
ここ最近はひとりで録音作業をしています。なにを作っているかは内緒。あー、猫さわりたい。